
japanlingva resumo
José Antonio Vergara
人間集団の健康状態についてのさまざまな指標(幼児死亡率、健康と保健状況の自己認識、など)について言えることだが、平均寿命(出生時の平均余命)について世界最長が日本の81.9歳、最短がシエラ・レオーネの34歳という大差があることは、各国の間で、また個々のさまざまな社会の内部でも、健康に関しての大きな不平等が存在していることを示している。従来は、このような疫学的なプロフィールの差や変化を、医療システムへのアクセスの難易度の差や個々のリスク・ファクター、たとえば遺伝子、年齢、行動様式、その他の個人的特徴(喫煙、肥満、血圧、コレステロール値など)の差で説明するのがふつうであった。
しかし、近年は集団保健学の研究分野において、さまざまな母集団間、たとえば先進国と貧困国との間の比較でみられるおどろくべき社会的な変異は、人々が成長発達の過程で経験する社会的環境(教育、労働条件、社会的・経済的関係、居住条件、社会的排除など)の差の結果として起こってくるという事実が明らかにされてきている。
健康の社会的決定因子についてのこのような新しい展望は、次のような状況の理解をもたらす。つまり、世界のさまざまな地域における、持続的な、むしろ悪化しつつある貧困のため、飲料水や食料やワクチンのような生活必需品が不足し、たとえばシエラ・レオーネでは5歳未満児の死亡率が、生産児1000人中316人に達するのに、日本では1000人中5人足らずであるという状況である。しかし、この展望が明らかにするのはこの点だけではない。今生まれつつある社会疫学が強調するのは、貧困国では現在もまだ特に重要である感染症、またより進んだ社会では非感染症(高血圧、心臓血管系のストレス、脳卒中、癌)や事故、精神保健的諸問題(うつ病、薬物・アルコール多飲など)による健康喪失に社会が影響してばかりでなく、人間集団の健康状態を規定するもっとも重要な因子が各種の社会層の間の不平等であるということである。この不平等が大きければ大きいほど、社会的結びつきと連帯とに対しての破壊的効果は大きい。そして、このような社会的連帯の破壊はさらに、他人への信頼の欠如、孤立、ストレス、等によって集団的な健康喪失の原因ともなるのである。世界保健機関は、社会的正義、人権、持続可能な発展によって世界的な規模で健康を向上させることをめざす公共政策を研究し提案するために、最近高いレベルの「健康の社会的決定因子に関する委員会」を発足させている。